大分県県立美術館 プロポーザルコンペ 応募案

県立美術館に対する基本的な考え方

■ 100年に一度のチャンスです
「オアシスひろば21」の向かいに県立美術館ができる。「街の美術館」です。
大分には、市の美術館が上野の丘にあります。郊外型の「森の美術館」です。
「街」と「森」のあいだでは、今、まさに街が大きく変わる計画がいくつも進行中です。JR線路の高架工事、都心南北軸整備、複合文化交流施設、JR駅ビル建設工事。 これは大分の街として、またとないチャンスです。
これからの経済状況から考えても、なんとしても成功させなければなりません。
これらが相互に影響しあい、美術館建設後もアートで街を活性化するための拠点としての「街の美術館」の提案です。
街の美術館としては、人が集まりやすい建物にするということです。さらに、「アートが街に出て行く」ソフトの拠点としての整備です。これには、県・市・官・民の枠をこえた協力が必要です。

■ 立地について(地域活性化、まちづくりへの提案)
オアシスひろば21」と対になって、ミュージアム・ゾーンを構成します。お互い展示室とホールを補完しあうことができます。街に情報を発信します。人が集まりやすいように美術館の前には、広い屋外フリースペース「アートひろば」をつくります。
197号線を通る人々に視覚的に呼びかけられるように、美術館側にもアトリウムをつくります。ぺデストリアンデッキを挟んで2つのアトリウム空間がつながります。
ここを基点に城址公園までの国道 197号線東西軸を「アートストリート」と位置づけます。アートプラザとも地続きに連携できます。
ぺデストリアンデッキから、JR大分駅までは商店街のアーケードを通れば、屋根つきの空間が続きます。駅南部に整備中の複合文化交流施設とシンボルロードを抜ければ、市美術館まで散策できます。これを「アートウォーク」として位置づけ商店街、市美術館とも連携します。
アーティスト、ボランティア、隣接企業、商店街、大学などにも呼びかけ、美術館建設後も県民運動として続けられるように、その拠点として県立美術館が機能します。
内部1階のほとんどはパブリックスペース「県民サロン」です。 197号線側の「アートひろば」と屋外庭園展示場のあいだの開放的なフリースペースです。
「アートストリート」「アートウォーク」の整備を、アーティスト、ボランティア、隣接企業、商店街、大学などにも呼びかけ、ワークショップなどを積極的に行い美術館建設後も県民運動として続けます。県立美術館のフリースペース「アートひろば」と「県民サロン」が、その核となります。

■ 建物について展示スペース・収蔵スペースについて
「街の美術館」に屋外フリースペース(アートひろば)や屋外庭園展示スペースを設けるため、建物は積層型とします。RC造を主体とした地下1階、地上4階の構造です。災害に考慮し、収蔵庫は3・4階の計画です。(市道を架け替えた後の街区2)ダブルスキンで空調の付加を抑えて、室内環境を守ります。ダブルスキンの屋根面はソーラーパネルを設置します。併せて、温泉地熱床暖房も検討します。建物全体の免震構造も検討します。エコで災害に強い建物を目指します。
 展示空間は、街区1側の2〜4階です。1階のエントランス、2階のペデストリアンデッキの導線が交わりスムーズに導きます。デストリアンデッキの延長は、北側敷地への拡張も検討できます。
展示空間へは、アトリウムとショップゾーンのある空間からブリッジでつながります。わくわく感と四季の演出と時間管理の容易さを実現します。ブリッジの両側は、1階屋根面を使った小さな屋上庭園です
展示スペースは、2階に県民ギャラリー、3階に企画展示室、4階に常設展示室です。最上階の4階は、常設展示室です。トップライトによる自然採光方式も検討できます。 作家が見たであろう同じ自然光の中で鑑賞できるのは捨てがたい事です。
積層型の弱点を補うためには、各フロアに吹抜け状の2層分の大空間を配置します。これにより個性のあるフレキシブルな展示空間となります。各階は北側のダブルスキン内のスロープで繋げ、ユニバーサルでザインを可能にするとともに五感を刺激する空間となります。このスロープは、屋上の彫刻展示スペースへとつながります。大規模な企画展のときは、2階の県民ギャラリーと3階に企画展示室をつなぎます。
大空間のいくつかは「アートひろば」側に突き出し、建物外観に個性を与えるとともにアート作品、映像作品やポスターなどで、街にアートを発信できます。今までアートに疎遠だった大人や子供たちに呼びかける装置としても働きます。
 街区3側の街区2に充分なトラックヤードを設けます。県立美術館として、他の地域との連携もここがハードの拠点となります。

■ 大分スタイル、県産資材への提案
「県民サロン」は、ホワイトキューブの延長の白い空間ではありません。
大分県産の自然素材と産業素材がいろいろな形でインテリアになります。
無垢の素材感の魅力たっぷりの落ち着ける空間です。これにより、他にはない大分スタイルの県民の応接間となります。
たくさんのクリエーターやアーティストとのコラボレーションも検討します。
アートなインテリアの開放的な県民サロンの中には、ボランティア室や情報コーナー、セミナー室、アトリエ、まちづくり室、カフェなどが点在します。ワークショップなどに対応します。 美術史や未来のアートについて語り合えるサロン空間です。この1部には大階段のある吹抜けのフリースペースを設けます。ミニコンサートや講義にも使えます。
2階の県民ギャラリーともつながり、ときには個性的な展示空間にもなります。
広い開かれたフリースペースを効果的に配置することで、ここを拠点に大分の街を回遊するゾーンが、少しずつ完成します。
「街の美術館」は、いつまでも開かれていなくてはなりません。アートと人という成長するソフトのためのハードづくりを基本とします。